ひりゅ~ひりゅ~とのどが鳴る♪というCMが、ブラウン管テレビから流れていた。以来、飛竜と聞けば生ラーメンと反応するくらい刷り込まれている。今も定番商品からえびめしやとかベトコンラーメンとのコラボ商品まで意欲的に展開し、岡山で不動の人気を誇っている。
そんな頭で「ひりゅ~ひりゅ~」とつぶやきながら、飛龍の滝を見に行ったのである。さっそくレポートしよう。

兵庫県佐用郡佐用町櫛田字滝谷に県指定の名勝「飛龍の滝及びその周辺」がある。滝だけではなく「そこらへん」みたいな曖昧な名称がいい。ただし、指定範囲は2,004㎡と明確である。
夏は蝉の声もいいが、やはり瀬音であろう。さらさらというせせらぎも素敵だが、近付くにつれ聞こえてくる滝の轟音もいい。明治の昔から知られていたようで、田山花袋編『新撰名勝地誌』巻之七山陽道之部播磨国に、次のように記載されている。
久崎村大字櫛田にありて、一名を櫛田瀧といふ。直下五丈、幅四尺、下流を瀧川と呼び、千種川に注げり。地は佐用駅より南二里、巉岩壁立(ざんがんへきりつ)して、瀑布は其間より落下し、恰も素練(それん)を懸けたるに似て風色賞すべしと雖も、地僻なるが為めに其名世に著はれず。偶ま、赤穂郡より因幡地方に抵(いた)る者、途上此を過ぎて来り観るのみ。
格調高い文章が滝の美しさを際立たせている。素練は白く滑らかな絹布のことで、滝の形容によく使われるようだ。現在は車でアクセスでき、気軽に立ち寄れる観光名所になっている。説明板を読んでみよう。
県指定文化財 飛龍の滝及びその周辺
指定年月日 昭和62年3月24日
所有者・管理者 櫛田地区
この滝は三段よりなり、下部は落差4メートルの小滝が二段をなし、上部はやや離れて位置する落差16メートルの大滝である。 滝周辺の地質は斑れい岩よりなり、滝水の落下する岩盤も美しいが、周辺の林は、千種川中流域の潜在植生や植物分布の指標となるまれな植物の宝庫ともいえる。
水が岩盤上を変化ゆたかに落下する瀑布と附近の自然植生が一帯となって荘厳優美な景観を保っている。
平成4年11月 兵庫県教育委員会
分布上珍しい植物にオチフジ、イワツクバネウツギ、オオズミ、キビノクロウメモドキ、チトセカズラ、クマガイソウなどがあるようだが、どれがどれやら分からない。クマガイソウは袋状の花弁が熊谷直実の背負う母衣(ほろ)に似ていることから名付けられた。一度は見てみたい。
それよりぜひ紹介したいのは、大河『軍師官兵衛』のオープニング映像に使われたこと。そう思って見比べると確かに同じ滝だが、撮影位置は私のカメラよりもっと上のようだ。見事な滝姿を極彩色に加工して放映した。
同じオープニングは「人を活かす鹿」で紹介した鹿ケ壺でもロケされている。難しいことは分かりやすく、分かりやすいことはより深く、深いことは面白く伝えるのがテレビの使命だ。美しい風景をより美しく紹介するのもテレビの得意技である。

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