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戦前戦中

兵どもが夢のあと

今から思えば,太平洋戦争への突入は無謀にしか思えないのだが,当時としては決然として立つべき理由はあった。それは,明治以来,大陸に日本人が営々と築いてきた勢力を守るためであり,その過程で異郷に散った英霊の労に報いるためである。仙台市青葉区川内...
源平

美しい戦争,源平合戦

戦争は人の命を奪うものだから惨事に違いないのだが,源平合戦ほど古くなると,ロマンにあふれ美しさ,切なさを感じさせるから不思議だ。若武者の死,愛する人との別れ…,現代の戦争映画にも通じるモチーフがそこにある。神戸市兵庫区会下山町2丁目の善光寺...
古墳

氷,それは夏の珍味

氷を口に含みたくなる季節である。普段,冷蔵庫から氷を取り出しても何とも思わないが,考えてみれば,昔の人々は夏季の氷の美味さは知らなかったのだ。ごく一部の貴人のみが口にする珍味であった。神戸市兵庫区氷室町2丁目に氷室神社が鎮座し,境内の奥に「...
室町

『小栗往還記』を歩く

松本徹の『小栗往還記』は旅に誘う名著である。中世と現世を行きつ戻りつしながら物語が進んでいく。小栗判官の生きんとする力,照手姫の直向きな愛,そして,運命の出会い。架空の世界とはいえ,現実にもそうであったろうかと思わせる語り口。道端の祠の礎石...
源平

神戸が首都になった時

幻の都,それに相応しいのが福原京である。驕る平家の象徴であったり,中国との関係を強化しようとした清盛の夢であったり,見方は様々である。それだけにどこに在ったのかが気になるところだ。神戸市兵庫区荒田町3丁目の荒田八幡神社に「安徳天皇行在所址」...
明治

遅かった義挙

幕末の三大義挙とは,生野の変,天誅組の変,天狗党の乱である。いずれも尊王攘夷の旗印の下で起こされた出来事で,明治維新の先駆けをなすものとして評価されている。さらに遡って,桜田門外の変でさえも義挙と呼ばれることがある。岡山市東区沼に「津下家之...
神話

泉湧く和泉国

地名の由来としてこれほど分かりやすいものはない。泉が湧くので「いずみ」。「いずみ」を二字の嘉名で表すよう律令政府から命じられたことにより,「泉」に「和」の雅字を付け加えて「和泉」となった。和泉市府中町6丁目に「泉井上(いずみいのうえ)神社」...
江戸中期

和泉伯太藩ここにあり

名族の流れを汲むことは武家の誇りであり,祖先の名を汚さないことが行動規範であった。事実かどうかは別として,誇らしい系図が作成され,その内容が信じられてきた。和泉市伯太町4丁目に「伯太營址碑」がある。付近に「旧伯太藩武家屋敷」もある。伯太(は...
安土桃山

帰りたいと言った石

帰りたいと言って泣くので元の場所に戻したら泣き止んだ,という石の伝説を時々聞く。今日紹介する話もそれに少し似ている。姫路市香寺町田野に「岩帰大明神」がある。御神体は,腰掛けるのにちょうど良い大きさで「岩帰さん」とも呼ばれる岩である。下の病気...
江戸前期

赤い山門,赤いポンプ

インゲン豆は,隠元和尚が江戸時代に中国から日本へもたらしたと言われている。もちろん和尚は豆を伝えに来日したのではない。禅宗の一派,黄檗宗の開祖として有名な禅師である。姫路市香寺町須加院に「瑞雲山常福寺」がある。隠元の弟子・実伝和尚が開いた黄...