奈良 いまだ政化を弘めず 朕(ちん)薄徳(はくとく)を以て忝(かたじけな)くも重任(じゅうにん)を承(う)け、いまだ政化を弘(ひろ)めず。寤寐(ごび)多く慚(は)ず。『続日本紀』天平十三年三月二十四日条に記される国分寺建立の詔の冒頭である。私は徳の薄い身ながら畏れ多... 2025.06.02 奈良
奈良 夢のみに継ぎて見えつつ笹島の 嵐に遭った帆船が帆柱を切り倒すのは、少しでも船を安定させるためだ。しかし、それは最後の手段であり、運が良ければ船仲間の救助が得られるが、そうでなければ漂流を始めることになる。大黒屋光太夫の神昌丸がそうだったように。倉敷市笹沖の足高神社は「帆... 2025.02.25 奈良
奈良 美作にある鑑真和上の墓 唐招提寺で鑑真和上坐像を拝ませていただいたことがある。あまりにも有名な肖像彫刻で国宝に指定されている。博物館の特別展にお出ましになることはあるが、厳かなお寺の佇まいのほうが畏敬の念が強くなる。部屋奥にまします和上像を前に、私は正座し暫く合掌... 2025.02.03 奈良
奈良 殿様が守った古代の文化財 遠江は「とおとうみ」と読むが、古くは「とほつあふみ」といい、遠つ淡海と書く。この「つ」は格助詞で、遠くの湖つまり浜名湖を意味していた。ちかつあふみは、もちろん近江である。古代吉備の豪族に、下道氏と上道氏がいる。「しもつみち」と「かみつみち」... 2024.08.14 奈良
奈良 修行したのは鑑真か玄昉か 宮崎県日向市には「クルスの海」という奇観がある。九州だけにクルスと名付けたのは見事だ。ただし、切支丹時代から知られていたわけではなく、21世になって観光開発が進んだようだ。私たちは直交する二本の線を十字架に見立てる傾向がある。本日紹介する岩... 2024.03.19 奈良
奈良 むかしは橋で、いま屏風 割り込みをされるとカチンとくるものだが、駅のホームでは整列乗車が徹底しており、割り込んでくる人はそういない。ところが、地学の世界では割り込みはよくあることで、岩石の割れ目にマグマが入り込んで固まってしまうのだ。割り込んだ者は悪びれもせず、そ... 2023.08.24 奈良
奈良 可視化された古代山陽道 神戸方面に車で行くことが少ないから、第二神明道路をそれほど使ったことがない。どこかで第一神明道路につながっているのだろうと漠然と思っていたが、このたび調べて驚いた。第一神明と呼ばれる道路はないというのだ。第一中学校があるのに第二中学校がない... 2023.07.30 奈良
奈良 駅家とサービスエリアの類似性 高速道路を走ってPAやSAを次々と通過していく。はじめのうちは快走しているものの、疲れてくると「PAまであと何キロ?」と意識し始める。だが、Don't Worry,I'm wearing!10分も走ると休憩できますよ。どうやらPAは15km... 2023.07.26 奈良
奈良 吾妹子が見し鞆の浦のむろの木は 幕末の万葉調歌人平賀元義について、正岡子規は指摘している。「元義の歌には妹または吾妹子(わぎもこ)の語を用ゐる極めて多し。故に吾妹子先生の諢名を負へりとぞ。」(『墨汁一滴』)例として「吾妹子を山北(そとも)に置きて吾(わが)くれば浜風さむし... 2022.09.01 奈良
奈良 国道上にある空中郡衙 「郡」という行政区画に何の意味があるのか分からなくなり、その名称さえ忘れ去られようとしている。広島県北部に双三(ふたみ)郡があった。地図上にその名はないものの、区画は現在の三次市に近い。平成の大合併により期せずして双三郡が復活したように見え... 2022.07.02 奈良