源平 霊験あらたかな弁慶の母 武蔵坊弁慶の生涯は,出生から義経との出会い,奥州への逃避行とその死に至るまで,聞く者みなが惹きこまれる物語で彩られている。しかし,実のところはほとんど中世の説話による伝説であり,事実を知ることは困難である。姫路市夢前町玉田の北野神社に「弁慶... 2008.10.04 源平
明治 神仏分離への小さな抵抗 日本の宗教史の大部分は神仏混淆の歴史である。神は仏の仮の姿であるとの考えが広まり,神社を保護する神宮寺が多く建立された。神前で読経することも自然な信仰形態であった。岡山市青江3丁目,日赤病院の裏手にある天野八幡宮の鳥居には,かつて「南無妙法... 2008.10.04 明治
源平 芸者ガール発祥の地? 静御前の悲話は,日本人の心の琴線に触れる。しかし,彼女が登場する史料は『吾妻鏡』のみであり,今に伝わる伝説の多くは『義経記』以来の想像の産物だという。東かがわ市大谷に「静御前姿見の井戸」がある。すぐ近くに「姿明神」という小さな祠もある。人が... 2008.10.02 源平
源平 平重盛を偲ぶ寺 小松内府,平重盛は平氏一門の中でも好意的な描写をされる人物である。父清盛に先立って亡くなることなかりせば,平氏の運命やいかに…などと思わせる。福山市の鞆の浦の寺町に小松寺がある。臨済宗妙心寺派の寺院である。ここに「平重盛卿の墓」と伝えられる... 2008.09.28 源平
江戸中期 「池田義民さん」という歌 享保17年,西日本に甚大な被害をもたらした大飢饉が発生する。高松藩領の大内郡落合・松崎の両村でも連年の水害で困窮を極めていた。これを見かねた庄屋の池田彦七は,妻子と別れ単身で藩に年貢減免を直訴する。東かがわ市落合に池田神社があり,その境内に... 2008.09.28 江戸中期
源平 平家「瀬尾最期」の舞台 木曽義仲をして「一騎当千のつわもの」と言わしめた男,妹尾(瀬尾)太郎兼康の話をしたい。義仲と戦い,一度は捕虜となるも逃亡して,さらに奮戦,最後は覚悟の討死をした平家方の武将である。その様子は『平家物語』巻第八「瀬尾最期」に詳しく描かれている... 2008.09.28 源平
神話 地に落ちた天の星 隕石落下の事実や伝説は全国各地で確認されている。『播磨国風土記』揖保郡条には次のような一節がある。【昔,天に二つの星あり。地に落ちて,化して石となる。】たつの市新宮町の西山公園に「からす岩」と「重ね岩」という形のよい岩がある。先の降星伝説は... 2008.09.24 神話
平安 小野小町のメッセージ 世界三大美女の一人に小野小町を数えるのは世界共通ではないだろう。なにせ日本人でさえ,その容貌を具体的に知る手がかりを持ってはいない。それでも人の口の端に掛かるくらいだから,美女であることは間違いないのだろう。「小野小町姿見の井戸」が倉敷市羽... 2008.09.22 平安
神話 神様の水争い 日本の神々は人間的で,よくけんかをする。石龍比古命(いわたつひこのみこと)と石龍比賣命(いわたつひめのみこと)の夫婦もそうだ。『播磨国風土記』が灌漑用水をめぐる争いを伝えている。夫は北の越部村に,妻は南の泉村に水を流したいと思っていた。夫は... 2008.09.21 神話
戦前戦中 祖国の美しさと倉田百三 庄原市立庄原小学校の校歌は,倉田百三の作詞である。百三の晩年,昭和十七年の作だ。「春は上野か秋去れど国兼池の紅葉狩り」と歌われるように,上野池の桜は今でも美しい。池のほとりに百三の文学碑がある。その文は『愛と認識との出発』が描くような美的世... 2008.09.20 戦前戦中