gyokuzan

大正

美しすぎる終着駅

8年前の秋、島根県立古代出雲歴史博物館で「戦国大名 尼子氏の興亡」という秀逸な企画展があった。旅先で呑むことを目当てに、朝一番の電車に乗って、特急「やくも」と「一畑電車」を乗り継いで出雲大社前駅に降り立った。電車の中で早くも呑んでしまい注意...
安土桃山

備作国境戦国若君哀話

朝倉義景の嫡子阿君丸を毒殺したのは、朝倉義景の上洛を阻止しようとする三淵藤英の奸計だったと、大河『麒麟がくる』で描かれた。義景の盟友である浅井長政の嫡子万福丸も、浅井氏滅亡後に探し出されて処刑されている。戦国の世に少年保護という考え方はない...
戦後

草に覆われた昭和の駅跡

あれは高校2年生だったか、今や廃線になって久しい片上鉄道に一度だけ乗ったことがある。友達と三人で「月の輪古墳」に行ったのである。その頃から史跡めぐりを趣味としていたわけではなく、おそらく歴史のレポート作成のためだったように思う。汽車に乗った...
平安

温泉好きな唐帰りの高僧

来年450年となる比叡山焼討は、信長による旧勢力打倒の象徴である。心優しく信仰心の篤い光秀も大活躍で、信長から与えられた門前町坂本に壮大な城を築くこととなる。比叡山延暦寺では9月12日に、数千といわれる犠牲者の霊を慰めるため450回忌の法要...
南北朝

民のかまどをかくて見むとは

JAXAが月探査計画に参加する宇宙飛行士の募集を始めるそうだ。若田光一さんが「多くの若い人に仲間になってもらい、新しい道を切り開いてほしい」と呼びかけている。日本人による月探査は、かぐや姫以来誰もなし得なかった偉業である。月への新たな道が期...
古墳

うつろ玉20、埋葬者20体以上

うつろな瞳には心くすぐられるが、うつろな目は気の毒で仕方ない。何かやらかしてしまって呆然としている。それが明日の我が身かと思うとぞっとする。「うつろ」とは何だろうか。どこか不安定な、あてなくうろうろしているような、そんな状態に思える。虚空を...
安土桃山

有馬喜兵衛の悲劇

ブログ開設以来の総アクセス数が60万を突破しました。これもひとえにみなさまのおかげと感謝し、いっそうの精進をお約束いたします。今後とも引き続きのご愛顧のほど、伏してお願い申し上げます。母親に買ってもらった伝記は今も記憶がある。偕成社版の世界...
明治

嗚呼、庚午事変150年!

50の国・地域が批准し、核兵器禁止条約が来年1月に発効する見通しとなった。核保有国に加えて唯一の被爆国である日本も参加しない条約にどれほどの実効性があるのかは疑問だ。それでも支持する人々は「歴史上の正義に立っている」と主張している。正義の立...
江戸前期

余りに壮大なため壊された城

秋が深くなると天空の城が人気となる。雲海の中に浮かぶ竹田城跡がもっとも有名だが、備中松山城や越前大野城も天空の城として喧伝されている。朝日に映えるその絶景を見ようと思えば、朝早くから準備し、城が一望できる高所にいなくてはならない。それもよい...
安土桃山

地図で確認できる小さな山城

最近感動したのは人の優しさではなく、地理院地図の傾斜量図である。地形の起伏が手に取るように分かるのだ。先日訪れた古墳と山城で確かめてみると、前方後円という特徴的な墳形や山城の縄張、特に深い堀切が一目瞭然、尾根筋を見事に遮断しているのが確認で...