gyokuzan

奈良

怪物を羊に変えて追放した男

ちょっとした渋沢栄一ブームだ。日本資本主義の父というから、私はすっかり商人の出身かと思っていたら、とんだ間違いだった。今年は大河『青天を衝け』、令和6年には一万円札に登場と、代表的日本人としての地位を固めつつある。歴史は現代を映す鏡と言われ...
弥生以前

努力を重ねた天邪鬼の悲劇

天邪鬼はひねくれ者だというが、こういう人はけっこう大切だ。前へ前へと進んでいるときに、後ろを振り返る。真正面から向き合っているときに、裏に回って見ようとする。都合の悪いことを尋ねられたら、「記録も記憶もございません」と返答する。いやこれは、...
江戸中期

ここが思案の福渡

越すに越されぬ大井川、と謡われた大井川の渡し。すぐ近くの場所を現在、東海道本線が通過している。交通の要衝は今も昔も変わらぬということだろう。ここを通らざるを得ない地形上の理由があるのだ。地方の街道とて同じこと。本日は備前岡山と作州津山を結ん...
江戸前期

ピュアな信仰を貫いた人々

民主主義は共産主義のようなユートピアのイデオロギーに過ぎないのか、それとも普遍的な価値なのか。冷戦が崩壊しフランシス・フクヤマ『歴史の終わり』が話題となった頃は、自由でリベラルな民主主義は、これ以上変化しようのない到達点かのように思われた。...
安土桃山

オールスターの日替わり神様

ブログ開設以来の総アクセス数が65万を突破いたしました。これもひとえにみなさまのおかげと感謝申し上げるとともに、史跡巡りにご相伴できますよう今後の精進を誓う次第です。「本日の日替わり」というとランチだ。唐揚げかな、ハンバーグかな、と店に入る...
江戸後期

石畳に残る名馬の足跡

アッピア街道の石畳を世界史の資料集で見たことがある。轍の跡が二筋残る美しい道だ。すべての道はローマに通ずの箴言のとおり、ローマ帝国の発展は道路の整備とともにあった。道路整備は現在も日本各地で進展しており、特に山陰道の進捗状況には目を見張るも...
平安

式内社高野神社はどっち?

邪馬台国でさえ場所が特定できないのである。文献を重視するか遺跡を重視するか。何を根拠としてどのように解釈するのか。ひと頃は纏向遺跡の発掘成果により畿内説で確定と思われていたが、九州説も研究者から地域おこしに携わる人々まで幅広く支持されている...
戦後

ハクセンシオマネキが呼んでいる

カニの中でもカワイイと人気なのがハクセンシオマネキである。「おーい、こっちこーい」と手を振っているから、行こうとするとすぐに巣穴に隠れてしまう。しばらくじっと見ていると、また顔をのぞかせる。環境省は絶滅危惧Ⅱ類に指定して保護を呼び掛けている...
平安

沈没船の上に出来た最低峰

「世界最高峰の戦い」などと呼ばれるスポーツ大会は、山でもないのに「頂点に立つのは?」と山登りに譬えられる。確かにトーナメント表は山の形をしているから「最高峰」はイメージしやすい。ところがこのたび「最低峰」もあることが分かった。草野球大会のこ...
明治

雲をつらぬく鉄の橋

余部の鉄橋は『夢千代日記』の頃から知っていた。その後、列車転落事故や新橋への架け替えもあったが、行く機会もないまま遠い国の出来事のように感じていた。一昨年の夏、鳥取から湯村温泉を訪れた時、余部が意外に近いと分かって足を延ばした。紺碧の空と海...