戦後

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全山奇岩怪石を以て覆はる

平家蟹とか人面魚にとどまらず、木の幹や葉にまで人の顔を認知してしまうのは、私たちの本能なのだろう。とすれば、森の中で動物を認知するのも同じかもしれない。獲物であれ危険動物であれ、生きるために素早く認知する必要があったはずだ。福山市神辺町下御...
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世にも不可思議な念仏池

不思議な場所は本当にあるもので、本日紹介する念仏池がそうだ。井戸くらいの大きさの池が隣り合って二つあり、一つは浅くて底にたまった泥が見えている。もう一つは深く澄んでいるが深さまでは分からない。しかも時折、気泡が上がり、水面に波紋が広がる。い...
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ひともとあ里し庭を忘れず

中河与一「天の夕顔」は永井荷風やアルベール・カミュが絶賛したという浪漫主義文学の名作である。文学碑は富山県の有峰林道大多和線の終点、大多和峠にある。「夜布かきや末のい保里にゆ免さめて曽羅わたる月をきゆるまでみし 中河与一」と刻まれているそう...
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晩夏の陽光がくれた滝時間

美波羅(みはら)川という愛羅武勇のような名称の川がある。江の川水系で日本海へ流れ行く。この美波羅川の支流に森谷川があり、並行して広島県道45号三次大和線がある。この道に車を走らせていると、突如「吉武滝」という看板が目に入った。あっという間に...
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米を喰い荒らして封じられた岩

先月25日の夜明け前、三角形に並んだ月と金星、土星が困り顔に見えると話題になった。月が逆の向きだとsmiley face moonと呼ばれるようだ。目と口の認識を瞬時に行う本能を持つ私たちは、いったん顔に見えたら、そうとしか見えなくなる傾向...
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品の滝アンドゥトロワ

広島県では現在、27の自然環境保全地域を指定している。このうち滝の名を冠しているのが二つあり、「常清滝」は「1億年前の崖を流れ落ちる水」で紹介した。本日はもう一つの「品の滝」である。この滝は音よし、姿よし、アクセスよしで、しかも三度楽しむこ...
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鮎は帰るが人が帰らなかった滝

鮎は海で育ち、春になると川を遡上する。冷たく澄んだ水を求めているのだという。私たちも夏になると滝を見に行く。水音が涼を誘うからだという。いや、濁った俗界がいやになって、清澄な自然に浸っていたいからかもしれない。私は鮎になりたい。兵庫県佐用郡...
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潮水が掛かったという滝

アララト山の標高4000m地点でノアの方舟の残骸が発見されたという。旧約聖書の伝える大洪水はやはり本当だったのか。干拓地なら「ここが海だった」と言われても納得するだろう。海から遠い場所で海の証拠が見つかったケースは「二千万年前に津山は海だっ...
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長くて楽しい滝登り

地球の表面は知り尽くされているように思えるが、時に新発見がある。令和3年9月10日、奄美市と同市在住の写真家が「奄美市名瀬小湊地内で巨大滝を発見した」と発表した。形状は段瀑、海岸瀑、分岐瀑で落差181m。九州一だという。アクセスが容易でない...
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思ひ出の亀が滝の夏

この厳しい寒さで山中の滝が凍り、「氷瀑」となっているそうだ。時が止まったかのような造形美を一度は見に行きたいが、雪道を運転する装備も技量もないので辿り着けないだろう。本日は寒ではなくて涼を求めて夏に訪れた高梁川水系最上流部の滝のレポートであ...