平安

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有難き霊泉、珍しかりし冷泉

湧き出る水を見た時の新鮮な感激は格別だ。生き物ではないのに生命の息吹を感じる。むかしの人々も同じように感じたことだろう。湧水に神仏が祀られている例はとても多く、伝説に彩られている場合がある。代表例は弘法大師による霊験である。庄原市東城町戸宇...
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法然上人ゆかりの七不思議

不思議の数はなぜか7つである。世界七不思議とは、ギザの大ピラミッド、バビロンの空中庭園、ロドス島の巨像 、オリンピアのゼウス像 、エフェソスのアルテミス神殿、ハリカルナッソスのマウソロス霊廟、アレクサンドリアの大灯台と、古代の壮麗な大建造物...
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片目の魚が出現した川

「片目の魚」伝説は全国各地に分布し、あの柳田國男も『日本の伝説』で紹介している。片目となった原因は、魚を半分だけ食べて捨てたからだとも、魚の目を突いたからだともさまざまだが、とくに鎌倉権五郎景政が目の傷を洗ったからだとするものが有名である。...
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勢至丸15歳、春の旅立ち

逆柱(さかばしら)というのは建築の禁忌で、本来の上下さかさまに柱を立てることである。家運が傾くとかロクなことが起きないそうだが、日光東照宮の陽明門は逆柱があることで知られている。作られているものは壊れないが、作られたものは壊れるだけ。完全な...
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コロナ来ぬ、ゆくもかえるも別れては

「これやこの」の蝉丸の歌は、百人一首のなかでもリズミカルで覚えやすい。歌枕となった逢坂の関がある京滋国境には「蝉丸トンネル」まであるというから、三十一文字の影響力は果てしないように思える。生没年、出身、経歴すべて不詳の謎の歌人蝉丸が、京から...
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狼なんか怖くないことない

オオカミなんて見たこともないが、神様になっているくらいだから、確かに存在していたのだろう。象のようなガネーシャが、象の棲むインドで神様になっているように。本日は商売繁盛のガネーシャではなく、盗難悪疫除けのオオカミ様のお話である。津山市桑上に...
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霞の里を求めて因幡へ

いまなら週刊誌記者に追いかけ回されたであろう。あるコラムに『和泉式部日記』が「平安の不倫マニュアル」と評されていた。当時の男たちも心奪われたが、後世の人々も気になって仕方なかった。おかげで各地に史跡が残っている。このブログでも、藤原道長の揶...
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藤原道長を呪った陰陽師

魑魅魍魎が跋扈するかのような『帝都物語』の世界は面白かった。すべてが合理的に説明できそうな現代社会は意外にも、不可思議な力や遠い過去からの因縁によって動かされているらしい。特に嶋田久作の加藤保憲のキャラは強烈で、大日本帝国のオカルティズムを...
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久米のさら山さらさらに

「さらさら」と聞けば、岩場を滑る水の流れを思い出すが、近年は血液の状態を表すことが多いようだ。ドロドロになって詰まってしまうのは何としても避けたいと思う。血液サラサラが当たり前だった古代の人は、「さらさら」でどのような表現をしているだろうか...
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神のご加護で反逆者を討つ

『平家物語』の冒頭には反逆者のリストが掲載されている。「遠く異朝をとぶらえば」と中国においては、秦の趙高、漢の王莽、梁の朱异、唐の禄山の4人が挙げられ、「近く本朝をうかがふに」と我が国においては、承平の将門、天慶の純友、康和の義親、平治の信...