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源平

神戸の港ここに始まる

大都市は平地に形成されることが多いが神戸は別だ。起伏の多いこの町の発展は神戸港の賜物だ。現在は沖へ沖へと拡張して立派な港湾施設がつくられているが,今日は港の歴史をさかのぼり,神戸港発祥の地を訪ねることにしよう。神戸市兵庫区島上町2丁目の築島...
戦前戦中

今に生きる実篤の理想

武者小路実篤との出会いはマッチ箱であった。デザインされていたのは「君は君 我は我也 されど仲良き」の詩画である。実に素朴で味わい深い。世にはマッチラベルの収集家がいるというが,その気持ちが分かる気がした。白樺派といえば理想主義的なイメージが...
室町

花は咲けども山吹の

歴史に詳しくないはずの母が小さい私に繰り返し語ってくれたのが,太田道灌の故事である。国定教科書に掲載されていたというから,母は,学校で,あるいは物語好きの祖父から聞かされていたのだろう。おかげで,有名なあの歌は,おそらく私が最初に憶えた和歌...
明治

近代産業のシンボル

当時,赤煉瓦は建物を堅牢にするために使用されたのであろうが,今ではレトロでおしゃれなイメージである。日本赤煉瓦建築番付によると,東には三横綱があり,東京駅,横浜赤レンガ倉庫,そして写真の建物である。富岡市富岡に「旧富岡製糸場」がある。写真は...
明治

蔵造りは大火に強い

景観の創造ほど難しいものはない。なにせ個人の思いだけでは創れないものだ。日本の町は災害との闘いであった。洪水,地震,戦乱,そして大火。景観をすっかり変えてしまうほどの出来事が幾度とあったのだろう。しかし,そのたびに人々は力を合わせ復興させて...
江戸前期

家光の生まれた小江戸

三代将軍・徳川家光は,生まれながらの将軍である。将軍の正室から生まれた子が将軍となったのは家光のみである。当然,江戸城で生まれたであろう。しかし,家光が生まれた部屋が埼玉県にあるという。その事情を探ることにしよう。川越市小仙波町の「川越大師...
幕末

幕末の名老中ここに眠る

江戸幕府は集団指導体制であった。将軍や大老ではなく,4~5人いた老中の役割に注目したい。個人のリーダーシップが優れている場合も魅力的だが,合議により進む政治も安定感があってよい。豊島区巣鴨5丁目の本妙寺に譜代大名・久世氏の墓地がある。久世氏...
江戸前期

史上最大の火災の火元

震災や戦災を除いて世界史上最大の火災は明暦の大火,世にいう振袖火事である。江戸市中のみならず江戸城天守までも焼失し,死者は10万8千人と言われる。振袖を手にした娘が次から次へと亡くなるという因縁話もその恐ろしさを増幅している。豊島区巣鴨5丁...
江戸前期

悪法廃止の名将軍ここに誕生

胞衣(えな)とは,赤ちゃんの生命の土台であった胎盤や膜のことである。命を育んだ胞衣に感謝し,家の敷地内に埋める風習があった。それを胞衣塚という。歴史上の著名人の胞衣塚は各地に残っている。文京区根津1丁目の根津神社に「徳川家宣胞衣塚」がある。...
幕末

蘭癖老中が読んだ時代の流れ

歴史の上で日本に危機は何度もあったが,ペリー来航に伴う政治状況の激変は,有数の国難といえるだろう。危機的状況に際して国の進む道を誤らぬためには,人を得ることが大切である。佐倉市新町の安城山不矜院甚大寺に「堀田正睦(ほったまさよし)墓」がある...