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安土桃山

岡山県北の倉敷にあった名城

岡山県の倉敷市というと、美観地区、瀬戸大橋、ジーンズなどで全国的に知られる都市である。市制を施行する前、すなわち明治半ばから昭和初めまでは「倉敷町」であった。ところが県北にも「倉敷町」があり、どっちがどっちやねんと混乱が生じたらしい。そのた...
平安

承平年間に築かれた平家城

山城には必ず削平された曲輪がある。しかしながら、山中の平らな土地が必ずしも山城とは限らない。本日扱う山城は『美作国の山城』には掲載されているが、『岡山県中世城館跡総合調査報告書(美作編)』では扱われていない。いったい、どういうことだろうか。...
安土桃山

毛利勢が高所に築いた砦を巡る

読めそうで読めない山に旧津山市内最高峰の「天狗寺山」がある。「てんぐうぎさん」と読むのだが、初めは誤植かと思い二度見したくらいだ。ならば登ってみようと、私は大佐々神社から背後の稜線をたどる山路に足を踏み入れ、とりあえず烏山(からすがせん)に...
幕末

春の末にぞ有紀は零ける

トルバドゥール(troubadour)というフランス語は吟遊詩人と訳される。12世紀前後に欧州で活躍した宮廷芸術家である。吟遊というから種田山頭火や若山牧水のような酒と旅を愛した詩人かと思ったが、そうでもないらしい。それでも私はあえて言う。...
戦国

竹内(たけのうち)一族の堅城

武道は高校時代に選択授業で柔道をやっただけだ。その時わかったのは、組むなら上手い奴と組め、ということである。同じくらい下手だともつれて危険だ。それに対して柔道部は瞬殺してくれるので、心地よく宙を舞うことができる。そんな調子だから武道を語る資...
室町

「銭弘俶八万四千塔」の末流

遣唐使が白紙に戻されてから我が国は鎖国状態となり、独自の文化の形成が進んだ。これを国風文化という。これは正しい理解とは言えないようだ。遣唐使が停止され唐が滅亡してからも、中国との往来は活発に行われた。唐滅亡後は五代十国の時代となるが、今の杭...
江戸前期

白雲皇帝と鹿ヶ谷の陰謀

種村季弘『アナクロニズム』河出文庫は忘れられない一冊である。聞いたことのない奇妙な話ばかりで、見てはいけないものを見たかのようなドキドキ感があった。その中に葦原(あしわら)将軍あるいは葦原皇帝という誇大妄想の入院患者が登場する。自家製の勅語...
江戸中期

伊勢亀山と備中北房、続く藩領の絆

「北房ぶり市」は三百年以上の伝統を誇る大イベントで、現在は毎年2月の第1日曜日に開催されている。山間部ではめったに口にできないブリを、当時の代官が「正月くらいは」と許可したことに始まるという。ステージは「ぶり市許可状伝達式」で始まるが、これ...
古墳

吉備の地方長官が眠る終末期古墳

あらゆる技術は終末期にもっとも発達し、パラダイムシフトによって急速に淘汰される。例えばテレビ録画に便利だったGコードは、地上波アナログ放送とともに消え去ってしまった。以前の記事「城を守る大規模な畝状竪堀群」で見たように山城も終末期に最も発達...
安土桃山

方谷先生ゆかりの城は備中三名城

備中聖人と呼ばれた山田方谷を大河ドラマ化しようと先月8日、伊原木岡山県知事、高梁・新見の市長など政治家、大橋洋治ANAホールディングス相談役など財界人が、NHKを訪れ要望書を提出したそうだ。大橋さんは高梁の方である。山田方谷の志に学ぶ国会議...