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南朝の隠れ里(近衛殿⑤)

「文中」という元号はあまり耳にすることがないが,南北朝時代に南朝方で使用されたものである。この元号が刻まれた鰐口が中谷神社に伝わる。ここは岡山県苫田郡鏡野町中谷字近衛殿。おそらくは南朝の勢力下にあったこの地において,南朝の関白を務めた近衛経...
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謎の公家の小さな墓(近衛殿④)

南北朝の争いは,天皇家と勤皇武士だけでなく,公家の争いでもあった。二条為忠は後醍醐天皇に近い立場にあり吉野で行動をともにする。南朝の歌集「新葉和歌集」にも作品が収められている。二条家は歌道で知られる御子左家の流れである。岡山県苫田郡鏡野町中...
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後醍醐帝に直諫した公家(近衛殿③)

あの後醍醐帝の側近重用を諫めたという気概ある公家,万里小路藤房。諫言が聞き入れられず出家,失踪し,その後のことは不明とされる。岡山県苫田郡鏡野町中谷字近衛殿に「藤房公墓碑銘」がある。藤房は,先にこの地に移り住んでいた近衛経忠公を訪ねたが,公...
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近衛家と美作の山里(近衛殿②)

勤皇武将,北畠親房を困らせたのが,南朝の分派行動「藤氏一揆」を画策した近衛経忠という公家である。小山氏など藤原流の氏族を結集し東国で一勢力を築こうとしたという。岡山県苫田郡鏡野町中谷字近衛殿に「関白塚」があり,唐門を入ると「関白左大臣近衛経...
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みやびな山里の廃校(近衛殿①)

「近衞小学校」が京都市内にあっても違和感はない。京都市立近衛中学校は実在するのだ。近衛(このえ)といえば藤原氏の流れをくむ公家の名家を想い起こす。おじゃる丸が通いそうな,この雅な名称の小学校は,どこにあるのだろうか。正確には,あるのではなく...
戦前戦中

蚊取線香ゆかりの神社

この夏も蚊取線香にはずいぶんお世話になった。最近はピレスロイドではなく天然除虫菊で作った蚊取線香も多く出回っている。体に優しいイメージがあるからだろう。尾道市向島町兼吉の亀森八幡神社の境内に「除蟲菊神社」がある。 昭和五年の創建で上山栄一郎...
源平

高倉上皇の嘆息

安徳天皇に譲位した高倉上皇は,ひと月後の治承四年三月に厳島行幸に出発する。『高倉院厳島御幸記』によると,往路は「備前の国こじまのとまりに着かせたまふ。御所つくりたり」と三月二十三日に,復路は「備前の国うちうみとほらせ給ふ。日いりかたにこじま...
江戸後期

根室の小島の存在感

根室港にある弁天島は天然の防波堤である。さらに島の両端には人工の防波堤が付け加えられ,漁船をオホーツクの荒波から防いでいる。数年前に「根室さんま祭り」で無料提供のサンマ2匹を炭火焼きでいただいた思い出がある。この近海は日本有数の漁場なのだ。...
江戸前期

変わり兜のゆるキャラ

今年は津市にとって「藤堂高虎公入府400年記念」の年に当たり,各種のイベントが実施されている。「シロモチくん」という三段重ねのお餅が兜を被っているキャラクターは,ゆるキャラとして人気があるようだ。ゆるキャラは一見理解を超えているようで,必ず...
安土桃山

安土宗論の記憶

安土・浄厳院の秋季法要では,毎年「かちどき念仏」が奉納されている。今年は10月11日14時からという。勝ったのは天正七年五月二十七日,打ち負かした相手は日蓮宗。世に言う「安土問答」である。滋賀県蒲生郡安土町大字慈恩寺に浄土宗の金勝山浄厳院が...