江戸前期

家光の生まれた小江戸

三代将軍・徳川家光は,生まれながらの将軍である。将軍の正室から生まれた子が将軍となったのは家光のみである。当然,江戸城で生まれたであろう。しかし,家光が生まれた部屋が埼玉県にあるという。その事情を探ることにしよう。川越市小仙波町の「川越大師...
幕末

幕末の名老中ここに眠る

江戸幕府は集団指導体制であった。将軍や大老ではなく,4~5人いた老中の役割に注目したい。個人のリーダーシップが優れている場合も魅力的だが,合議により進む政治も安定感があってよい。豊島区巣鴨5丁目の本妙寺に譜代大名・久世氏の墓地がある。久世氏...
江戸前期

史上最大の火災の火元

震災や戦災を除いて世界史上最大の火災は明暦の大火,世にいう振袖火事である。江戸市中のみならず江戸城天守までも焼失し,死者は10万8千人と言われる。振袖を手にした娘が次から次へと亡くなるという因縁話もその恐ろしさを増幅している。豊島区巣鴨5丁...
江戸前期

悪法廃止の名将軍ここに誕生

胞衣(えな)とは,赤ちゃんの生命の土台であった胎盤や膜のことである。命を育んだ胞衣に感謝し,家の敷地内に埋める風習があった。それを胞衣塚という。歴史上の著名人の胞衣塚は各地に残っている。文京区根津1丁目の根津神社に「徳川家宣胞衣塚」がある。...
幕末

蘭癖老中が読んだ時代の流れ

歴史の上で日本に危機は何度もあったが,ペリー来航に伴う政治状況の激変は,有数の国難といえるだろう。危機的状況に際して国の進む道を誤らぬためには,人を得ることが大切である。佐倉市新町の安城山不矜院甚大寺に「堀田正睦(ほったまさよし)墓」がある...
安土桃山

祭りと酒が伝える人望

支配者がどのように民衆の記憶に残るかは興味深いところだ。忘れ去られる者が圧倒的に多いが,悪くすると暴君とされ,上手くいくと名君となる。本日紹介する名君は戦国の敗者である。しかしながら,その負けた戦いの様子が再現されるほどに偲ばれている人物で...
江戸前期

印旛沼の美しさ

近江八景をはじめとして,日本各地に八景がある。宋代の瀟湘八景に倣って美しい風景を列挙したものである。臼井八景もその一つだ。佐倉市臼井田干拓から眺める印旛沼は,臼井八景の第一景「舟戸夜雨」(ふなとやう)である。舟戸大橋のたもとの辺りだ。舟戸は...
平安

菅公は安産の神様

厩戸皇子が伝説化して聖徳太子となったように,菅原道真もまた,天神様として伝説に彩られた人物である。左遷の菅公がお通りになった瀬戸内には,さまざまな霊験譚がある。岡山市十日市東町の子安天満宮に「御祭神菅公腰掛石古跡」がある。座るのにちょうどよ...
鎌倉

バス停が伝える親王の御名

「我こそは新島守よ隠岐の海の荒き浪風心して吹け」 気丈な後鳥羽上皇は,配流の地でこう詠んだ。和歌の名手にして武芸も多才,豪奢な生活を支える広大な荘園と,知・体・財の三拍子そろった人物であった。ただ政治的な判断を誤ったことで,自らの人生を変え...
飛鳥

幻の土佐国分尼寺

塔の心礎が好きだ。どっしりと構え何事にも動じようとしない抜群の安定感がある。そして,そこにあった塔の姿は如何ばかりであったろうかと,想像力を掻き立ててくれる。南国市比江に「比江塔趾」(比江廃寺塔跡)がある。国分寺ができる以前の白鳳時代の寺院...