戦後 全山奇岩怪石を以て覆はる 平家蟹とか人面魚にとどまらず、木の幹や葉にまで人の顔を認知してしまうのは、私たちの本能なのだろう。とすれば、森の中で動物を認知するのも同じかもしれない。獲物であれ危険動物であれ、生きるために素早く認知する必要があったはずだ。福山市神辺町下御... 2025.06.26 戦後
古墳 林間到るところ古墳あり 人間到るところ青山ありといい、大志を成し遂げる場所はどこにでもある。これまで、この世にどれだけの人が生まれ、精一杯生きて、そして亡くなっていったのだろう。それぞれに墳墓があるとすれば、私とあなたとの間にあってもおかしくない。実際、林間到ると... 2025.06.23 古墳
江戸後期 江戸の砂留と現代のロックフィル 「コンクリートから人へ」冷たく固い巨大な構造物と温かい血の流れる柔らかな命。政治が何を大切にするのかを見事に対比し、閉塞感に鬱々としていた国民の心を鷲掴みにしたスローガンである。2009年に政権交代を果たす民主党が打ち出した。コンクリートの... 2025.06.20 江戸後期
古墳 中央政権と吉備穴国の首長 日本製鉄によるUSスチール買収が進展している。トランプ大統領はやむを得ないと考えているものの、メンツにはこだわっているようだ。アメリカの製鉄は1621年に始まる。当時のイギリス領バージニアにフォーリング・クリーク製鉄所が設立されたのである。... 2025.06.12 古墳
江戸中期 水害と一揆を語り伝える石碑 歴史は語る人があってこそ存在する。私たちは日々歴史を生きているわけだが、見聞きしたことをすべて叙述しようとは思わない。であれば、語られることのなかった数多の歴史が存在することだろう。本日は語る人あればこその貴重な出来事を紹介する。延宝の大水... 2025.06.09 江戸中期江戸前期
奈良 いまだ政化を弘めず 朕(ちん)薄徳(はくとく)を以て忝(かたじけな)くも重任(じゅうにん)を承(う)け、いまだ政化を弘(ひろ)めず。寤寐(ごび)多く慚(は)ず。『続日本紀』天平十三年三月二十四日条に記される国分寺建立の詔の冒頭である。私は徳の薄い身ながら畏れ多... 2025.06.02 奈良
戦後 世にも不可思議な念仏池 不思議な場所は本当にあるもので、本日紹介する念仏池がそうだ。井戸くらいの大きさの池が隣り合って二つあり、一つは浅くて底にたまった泥が見えている。もう一つは深く澄んでいるが深さまでは分からない。しかも時折、気泡が上がり、水面に波紋が広がる。い... 2025.05.29 戦後
江戸中期 三次もののけ怪異譚 コロナ禍によってメジャーデビューしたアマビエ。おしゃれなお姉さんのような風貌で、厚生労働省によって「STOP感染拡大!COVID-19」のロゴとともに啓発アイコンに採用された。原画は京都大学附属図書館所蔵で、一度拝見したいと思っていたところ... 2025.05.26 江戸中期
戦後 ひともとあ里し庭を忘れず 中河与一「天の夕顔」は永井荷風やアルベール・カミュが絶賛したという浪漫主義文学の名作である。文学碑は富山県の有峰林道大多和線の終点、大多和峠にある。「夜布かきや末のい保里にゆ免さめて曽羅わたる月をきゆるまでみし 中河与一」と刻まれているそう... 2025.05.22 戦後
戦後 晩夏の陽光がくれた滝時間 美波羅(みはら)川という愛羅武勇のような名称の川がある。江の川水系で日本海へ流れ行く。この美波羅川の支流に森谷川があり、並行して広島県道45号三次大和線がある。この道に車を走らせていると、突如「吉武滝」という看板が目に入った。あっという間に... 2025.05.19 戦後