戦後

サクランボのお供え

朝、食堂でスウプを一さじ、すっと吸ってお母さまが、「あ」と幽(かす)かな叫び声をお挙げになった。「髪の毛?」スウプに何か、イヤなものでも入っていたのかしら、と思った。「いいえ」お母さまは、何事も無かったように、またひらりと一さじ、スウプをお...
戦後

駄菓子屋天国

むかし、学校の近くには駄菓子屋があった。私の中学校の前には文房具やらチロルチョコやらいろいろ売っているUFOという店があり、よく行ったものだ。その店はしばらくしてなくなったが建物は残っていた。その建物も先日倒されてしまった。もっともコンビニ...
幕末

幕末の反英闘争

反英闘争というと英領植民地での出来事のようだが、今日は幕末日本の話である。アフリカであれ日本であれ、反英闘争とは、イギリスの帝国主義的圧力に対するその国のナショナリズムの発露である。港区高輪三丁目の東禅寺は「最初のイギリス公使宿館跡」である...
江戸中期

親に似た顔、自分に似た顔

人間の目鼻口の位置はそれほど変わらないのだから似ている人がいても不思議はない。あるいは、その人の表情やしぐさを自分や自分の身近な人に重ねてしまうこともあるだろう。川越市小仙波町一丁目の喜多院に「五百羅漢」がある。喜多院のウェブサイトには「川...
江戸前期

鳩を近付かせない方法

むかし、名字のトリビアを紹介した本を読んで、「小鳥遊」と書いて「たかなし」と読む珍しい姓があることを知った。鷹がいないから小鳥が遊べるというわけだが、今日紹介する話はその逆である。川越市小仙波町一丁目の「喜多院鐘楼門」は国指定重要文化財であ...
江戸前期

不思議の川越城

日本三大~と有名なものは3つにまとめたがる傾向があるが、不思議は7つ挙げられる。それだけ世の中には分からないことが多いのだろう。世界七不思議を筆頭に、不思議にはロマンがありミステリーがあって、みんな大好きだ。川越市郭町ニ丁目の川越市立博物館...
明治

プリンスの邸宅

高輪プリンスホテルから品川駅へ降りる坂道(さくら坂)は、桜や新緑の季節には泣けるくらい美しい。温かい緩やかな風にのって宙に舞った薄紅色の一片が濃紺スーツの袖に付く。葉桜になると木漏れ日がアスファルトで穏やかに揺れている。袖に付いた花びらを払...
明治

汽笛一声新橋を

「汽笛一声新橋を」と口ずさんで、そこで止まってしまった。この有名な歌い出しから新橋が鉄道の起点だったと知ってはいたが、歌詞の続きが分からない。調べてみると「はや我汽車は離れたり 愛宕の山に入りのこる 月を旅路の友として」というそうだ。港区東...
江戸前期

江戸城が見える場所

都会には歴史を感じる場所がないと感じていた。あったとしても~の跡という小さな石碑が周囲の喧騒に掻き消されるかのようにひっそりと立つのみだと思っていた。しかし、都会でも時々歴史が目の前に現れることがある。それもそのはず東京には400年以上の歴...
江戸前期

帝釈天で産湯を使い

「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。帝釈天で産湯を使い、姓は車、名は寅次郎、人呼んでフーテンの寅と発します」寅さんといえば昭和の国民的ヒーローである。少し前に友人と飲んでいて寅さんの話になった。友人は「こんなおっちゃん居ったらおもしろい...