戦前戦中

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通行止めの中央分水界

平成30年7月豪雨は西日本各地に未曽有の災害をもたらした。都市部ではかなり復興が進んだようだが、山間部ではいまだに通行止めとなっている場所がある。本日紹介する物見峠もその一つだ。私がこの峠を越えたのは豪雨のひと月ほど前だった。県境を越えてし...
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忌まわしきファットマン

台風とか原子爆弾のような忌まわしいものにニックネームをつけるのは、アメリカンの悪い癖だ。ウラン型広島原爆は「リトルボーイ」、プルトニウム型長崎原爆は「ファットマン」と呼ばれた。私はむかし、リトルボーイは原爆ドームの真上で炸裂したものと思って...
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刑務所の跡地は今

江戸時代には牢屋が火事になった際に「切り放し」という措置が取られた。囚人たちに対し、解放する代わりに必ず戻ってくるよう指示し、約束を守った者は減刑、逃亡した者は死刑にしたという。災害時は避難第一で命を守ることが最優先される。それは江戸時代で...
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運動場わきの防空壕

うちの集落は農村地帯だったから空襲されることはなかった。防空壕が掘られたという話も聞かないし、干拓地なので掘っても泥水が出るだけだろう。それでも、グラマンの機銃掃射で一人亡くなっている。民間人への攻撃に関して、1977年のジュネーヴ諸条約第...
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欧州の天地は複雑怪奇

いよいよ参院選という政治のお祭りが始まった。自民一強は揺るぎそうにないので、通算在職日数が現在歴代3位の安倍内閣は、さらに記録を伸ばすだろう。8月24日に佐藤栄作(2798日)を抜き、11月20日には桂太郎(2886日)を上回るのだという。...
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ビルディングに日本屋根

ビルディングの上に日本屋根とは、なんとも妙な取り合わせだ。これは、かつて流行した建築デザインで、「帝冠様式」という。欧米の建築に学ぶものの、大和魂は忘れない。そんな和魂洋才の心意気を表しているようにも見える。名古屋市中区三の丸三丁目に「愛知...
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銀行とユーカリは知っている

銀行と建築には深いつながりがある。銀行はお金を扱っているので信用第一である。信用には形がないから、それを建物で表現する。揺るぎない信頼には、堅牢な建造物が必要だ。かくして、銀行の建物は立派になったのである。本日は銀行の銀行、日本銀行の建築か...
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築け!平和の架け橋

通勤途上、橋をいくつも渡っているはずだが、ほとんど気にしたことがない。もし橋がなかったら大変困るはずだが、感謝したことがない。私たちが平和の享受を、空気のように当たり前に思っているのと同じだ。そうなら、橋を渡れるのは平和な証拠、橋は平和の象...
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戦後は遠くなりにけり

戦後70年を経て数年、元号が改まろうとしている。「もはや戦後ではない」とは1956年度の『経済白書』の言葉だが、その当時はじゅうぶん戦後であった。戦争の記憶が薄らいでいく現在、ついに「戦後は遠くなりにけり」の感慨を覚える。福山市東町二丁目の...
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オーイと呼んでみやうか

旅と文学は互いを高めあう存在である。旅が詩を生み、詩が旅情をかき立てる。人生そのものが旅のような林芙美子は、各地の美しい風景を情感豊かに描写した。『放浪記』の有名な一節「海が見えた。海が見える。」で始まる尾道の景色は、今も山陽線で体感できる...