平安

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住めば都の幻の王城

歴史が面白くなってきたのは、昭和51年の大河ドラマ『風と雲と虹と』を見てからだ。その時、母親に初めて文庫本を買ってもらったのだが、それが大岡昇平『将門記』(中公文庫)であった。漢字が難しくてなかなか読めない。辞書を引いてふりがなを振った。し...
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龍神が授けてくださった犀の角

あけましておめでとうございます。今年の干支は辰なので龍にちなむ動物として、タツノオトシゴ、あるいはコモドドラゴンやウォータードラゴンなどのトカゲにスポットが当たっているようだ。龍は想像上のものだから、似た動物で代替するしかないが、伝説の宝庫...
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平安のヤマトタケル、怨霊となる

怨霊といえば、藤原氏に排斥された菅原道真、保元の乱に敗れた崇徳天皇、そして関東の自立を図った平将門。特に平将門に関しては東京大手町の将門首塚がよく知られている。倒された者が恨みを抱いて怨霊になるのが普通だが、将門を倒した勝者にも怨霊と化した...
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姿の平等院

「ねんね根来のよう鳴る鐘は 一里聞こえて二里響く」俚謡に唄われたように、お寺の鐘の音は心に染み入り何がしかの感慨を呼び起こす。それは懐かしい思い出であったり、ゆく年くる年であったり、柿だったりするだろう。全国にある梵鐘の中でも特段の優品を「...
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『将門記』に登場する寺

史跡巡りはイマジネーションに遊ぶ旅である。一基の石碑から景観と事象を復元する、言わば無から有を産み出す行為である。下の写真を見よ。何もない…さにあらず、法起寺式の七堂伽藍があったのだ。結城市大字上山川字古屋敷に「結城廃寺跡」がある。古色の趣...
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あっちこっち神社

国道18号線で軽井沢に入ると「標高1003m」という標識が目に入る。道路標識風の色遣いで、かくも大きく示すことはなかろうに、とも思うが、標高が四桁というのは干拓地に住む人間にとってかなり衝撃的な数値だ。四桁なのに地面が平らだ。平らといえば沖...
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来るなかれという幻の関

東北へ帰るという同僚がいたので乗せてもらい、常磐道で勿来まで来た。福島県に入ったのはこの日が初めてだった。その日のうちに歩いて茨城県に戻ったので、結局半日ほどの滞在だった。あれから何年もの月日が過ぎた今では、宝石のように貴重な想い出だ。いわ...
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地上の極楽

地上の楽園、そう聞くと宣伝文句としか思えない。自分が実感したのなら楽園でも天国でもよいのだが、人にはなかなか伝わらない言葉だ。しかし、私は見た。これを極楽と言わずして何と言おう。平等院鳳凰堂である。宇治市宇治蓮華に「平等院鳳凰堂」がある。今...
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古代日本の大動脈

東京と大阪を結ぶ交通路は現在の日本の大動脈である。それは、東名・名神高速道路であり、国道1号線であり、東海道新幹線であり、東海道本線であり、遠い将来は中央リニア新幹線となるルートである。しかし、古代日本に東京はなかった。畿内と結ばれていたの...
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頭痛を治す皇子

父が天皇でその第一皇子なら、当然ながら皇太子となり、行末は天皇として歴史に名を刻むことになったはずだ。そううまくいかないところが現実であり、皇位継承には権力闘争がつきものである。その典型の一つが保元の乱、兄・崇徳上皇と弟・後白河天皇の争いで...