平安

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桜の華やかさと松のめでたさ

極楽の象徴は蓮の花だが、満開の桜に比べたら地味に思える。泥中から清らかな大輪を開く蓮花は、それはそれで美しい。ただし、ソメイヨシノがこれほどに広がった現代にあっては、花見をして酒を呷り、周囲の客の幸せそうな姿を見ると、地上の楽園はここであっ...
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新築の城の名は「いまんじょ」

大河ドラマ『風と雲と虹と』での興世王(おきよおう)役を名優・米倉斉加年が演じた。小学生だったのでよく憶えていないのだが、舌を噛み切って最期を遂げたことだけは強烈な印象となって残った。興世王、それにしても何者だ。皇族のようだが系譜が分からない...
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関東に来た藤原純友

平将門と藤原純友は同じ時期に都の東西で反乱を起こした。両者は共謀したと考えるのは自然なことだ。室町時代の成立と言われる『将門純友東西軍記』(集文館、日本歴史文庫、M44)は、次のように記している。然るに同年(承平六年)八月十九日、相馬将門藤...
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平親王と七人の侍

『スター・ウォーズ』だけでなく人気漫画『ワンピース』までもが名画『七人の侍』の影響を受けているという。では、黒澤明はどこから七人の着想を得たのだろうか。まさかlucky sevenでもあるまい。洋の東西を問わず「7」は好まれる数字である。日...
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唐土のレッドクリフを見るが如し

2008、2009年公開の『レッドクリフ』は中国映画の超大作である。"Red Cliff"と聞くとよく分からないが、訳せば赤い絶壁、つまり三国志最大のクライマックス「赤壁の戦い」のことだ。諸葛亮孔明を日本の金城武が演じたことも話題となった。...
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瀬戸内海賊の敗残兵

落人といえば平家伝説だと思う。源平合戦のみならず、日本史上の数多の戦乱において、引き分けでなければ敗者はいた。残党狩りもあったことだろう。追及を逃れて山里深く落ち延び、生き長らえた者もいたに違いない。今日の史跡は落人伝説の里である。相生市野...
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和泉式部の雨宿り

シダレグリには伝説がつきもののようだ。長野県上伊那郡辰野町では弘法大師が栗の実を分けてくれたお礼にと枝を垂らしたという。岡山県真庭郡新庄村では後鳥羽上皇が箸に使った栗の枝を逆さに挿したものが枝垂れ栗となったという。相生市若狭野町雨内に「和泉...
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毒蛇が僧侶に変身

山陽道といえば山陽自動車道のことで、京阪神方面から山陽の主要都市を貫いて九州へと向かう日本の大動脈である。これができる前には国道2号がその役割を果たしていた。さらに遡ると江戸時代にも山陽道はあった。今でも宿場町の名残が残っている場所がある。...
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清和源氏の聖地

アルジェリアではテロリストの掃討作戦が邦人を含む多数の犠牲者を出して終わった。隣国のマリでは北部を実効支配する反政府勢力にフランス軍が攻勢をかけている。砂漠の中での戦いである。水の確保はどのようにしているのだろう。水がなくては戦はできぬ。羽...
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母の忌日をばせざりけり

「前九年の役」「後三年の役」は対になって記憶される用語である。中国では「前漢」「後漢」、ヨーロッパでは「前ポンメルン」「後ポンメルン」などが知られている。歴史用語なら時間上の位置を表すが、地名なら空間関係を表す。話を大きくしておいて急に引っ...